家電のケンちゃんさんにてKL5C8400のDIP化基板の頒布を委託させていただきました。CPUについてはあまり多くの情報は見つけていませんがここにまとめておきます。DIP40化の経緯等については過去のblogを見ていただけたらと思います。
[再度頒布について(2026.03.18)]
現在部品が切れているため追加の製作ができません。手配は進めておりますが、家電のケンちゃんさんの所に再入荷するのはいましばらく時間がかかる見込みです。=> KL5C8400 DIP化基板【完成品】
■KL5C8400とは
川崎製鉄(KAWATETSU)製のZ80とバイナリ互換のCPUです。本家ZilogのZ80と異なる点がいくつもあり面白いCPUだと思います。なぜもっと使われなかったのか?というくらいまぼろし化したCPUじゃないかと個人的には思います。今でいうマイコンのような、周辺機能を入れたCPUもかつてはあり、これをマイコンボードにした製品もあったようです。過去のトラ技の広告ページやトラ技スペシャルに記事がありました。しかし、今回のCPUの記事は見つけられていません。また使用された製品も正直わからずじまいです。今回の機会になにか情報が得られたら楽しいですね。
ざっくりと特徴をあげておきます。
CPU最大33MHz
Z80モードとKC80モードがあります
本家Z80と実行サイクルの異なる命令がある
5V駆動
リフレッシュ信号がない
内部メモリはありません。
以下にそれぞれについて捕捉します。
CPU最大33MHz
0Hz~33MHz。本変換基板で安定して最高速まで動作可能かどうかは未確認です。Z80モードとKC80モードがあります
Z80モードは本家Z80に近い信号を出します。今回の変換基板はこちらのモードに設定してあります。KC80モードは本家Z80とはことなるタイミングの信号を出します。また信号の内容も変わっていますので残念ながら*既存の*Z80システムで単純にCPUを置き換えても動作しないでしょう。いずれのモードもバイナリ互換です。本家Z80と実行サイクルの異なる命令がある
Z80モードでは特に16bitの演算系の命令が速くなっていますが、遅くなっている命令もあります。KC80はもっと全体的にサイクル数が少なくなっています。ソフトウェアの実装次第では本家Z80と同一クロック時の比較をした場合より速く動作します。しかし、例えば空命令を実行してタイミングを取るなどの実装をしているソフトはうまく動作しなくなるかもしれません。
例としてはADD HL,ss は Z80 mode で 4 clock で本家 Z80 は 11 clockです。5V駆動
公称では5V動作です。非公称で3.3Vでも動くそうです。その場合最大クロックは半分ほどが目安。今回の変換基板はそれに合わせリフレッシュ回路も3.3Vで動作するICを使用しました。しかしながら動作確認は現時点でしておりません。リフレッシュ信号がない
リフレッシュ信号がCPU 25pin(QFP44)から出ていません。ここはCNFGとなっていてZ80/KC80のモード切替入力となっています。変換基板ではその他の信号からリフレッシュ信号を合成し、DIP40の28pinへ出力しています。リフレッシュアドレス出力とCPU内部のリフレッシュレジスタについてはもともとありますので、変換基板では何もしていません。
CPUの名誉(?)のために申し上げておきたいのが、リフレッシュ信号がないという点はこのCPUの目的を明確に示しているのだと思います。当時の宣伝にも書かれていましたが、Z80のコードを速く動かすという目的のために作られたようです。想像ですが33MHzでノーウェイトで動かせるDRAMは当時もしかするとなかったのではないでしょうか。最高速で動かすには高速SRAMでシステムを構築する必要があり、必然的にリフレッシュは必要ないよね。ということだと思います。
つまり今回の変換基板の「既存のDRAMベースのシステムに載せ替えて使ってみる」は"ちょっと変態的使い方を目指して製作した"ということになると思います。でもリフレッシュ信号さえあればって夢見ますよね?内部メモリはありません。
これは特徴でも何でもないのですが、このKC80コアを使用し、シリアルやパラレルなどの周辺機能を搭載したマイコンKL5C80A12(or 16 or 20)というのがあります。A12にはノーウェイトで動く高速RAMが512バイト乗っているそうです。KL5C8400とはだいぶ違うので記載しました。
■KL5C8400 DIP化基板
本基板はQFP44のCPUをDIP40に変換するのですが、同時にリフレッシュ信号を生成する回路をつけています。これにより既存のDRAMのシステムでも動作することが期待できます。
CPUの実行サイクル数が異なるため、本家のZ80と同じクロックで動作させた場合にもプログラムによっては速く動作する可能性があります。(逆に遅くなる命令もありますし、システムによっては動作しない可能性もある点を申し添えておきます)
変換基板は下記の写真のように見て左下が1番ピンになります。また右側に書き込んである黄色の矢印の部分(ソルダージャンパ)はZ80モードに設定してありますが、真中と下をショートするように変更するとKC80モードになります。
■本基板の特徴と期待されるスペックおよび注意点など
(以下に記載した内容は動作を保証するものではないことをご承知おきくださいませ)
本基板の実測の消費電流は5V動作時で100-110mA程です。本家CMOS版Z80に比べ消費が多いと感じられると思いますが、これはKL5C8400の消費ではなくほぼGAL(基板右側にあるIC)の消費になります。また、GALは使用中に少し温かくなります。これが原因で熱暴走したというのは今の所経験していませんが真夏の40℃超の中で動作させたことがありません。
テストで使用したMSX(YAMAHA CX11とPanasonic FS-A1F)でのシューティングゲームは速さの違いを感じませんでした。おそらくシューティングゲームはVSYNCでタイミングとると思いますので間に合わずに遅くなっていた(処理落ち)とかがない限りは体感上の違いはないかもしれません。シミュレーションとかコンピュータの考えるゲームだといいのかもしれませんが、局面が一緒でないと時間測定の意味がないです。
本基板をソケットから外すときには基板上のパターンやパーツに傷をつけたり破損しないように注意してください。ソケットの足を回復不能なまで曲げたり折ったりした場合、秋月電子通商様で販売されているリードフレームが使えます。
基板用リードフレーム BQ04-SN
基板用リードフレーム SHP-001
丸ピン用のヘッダーも使えると思います。
丸ピンヘッダー 1×20 (20P) 6604P-20G-121
丸ピンヘッダー DIP40 2227P-40G-06-L2