EPG4のLab.

KL5C8400 DIP40変換ボードの製作 (1)

2024-11-14 22:16:00
2024-11-22 17:30:26
目次

Z80バイナリ互換のCPUであるKL5C8400を使う機会ができたので何回かに分けて「触ってみた」記録を書いていこうと思います。1回目はこのCPUを触るに至った経緯です。実際に動作させるまでの記事は次回以降です。

最初にこのCPUなに?

川崎製鉄(KAWATETSU)製のZ80とバイナリ互換のCPUです。バイナリ互換ということで全く同じ動きをするわけではないけれど、Z80の命令を実行することができます。動作電圧は5V、最大動作クロック周波数は33MHzとかなり高速に動作させることができます。

Z80をもっと高速に動かしたいという需要に答えるために当時開発されたもののようです。”ようです”というのは自分は当時を知らないので、電子回路の世界ではどういう時代背景でどういう流れがあって開発、発売されたのかなど知らないというのがあります。

今このCPUを検索してみますと探し方が悪いのか、ほとんど情報が見つかりません。見つかったものについて最後にいくつかリンクを貼っておきますが、CPU情報をまとめたサイトでZ80の互換品の1つとして紹介されていました。搭載例としてパチスロ機で使われていたこともわかりました。またかつて日本の方で8801やMSXで高速動作をさせた例があったようです。これについてPLDを使ったという情報もみつかりおそらく今回と同じような方法だったのだと思います。infoseekでの公開だったためサービス終了とともになくなってしまったようです。

そのほかはトラ技スペシャルや昔のトラ技に下記にも出てくるマイコン版の記事があったり、マイコンボードの広告がありました。

このCPUを触るに至る経緯

自分のこのCPUとの出会いのきっかけは忘れてしまいましたが、どこか(おそらくトラ技の記事)で見かけたのだと思います。KawasakiのCPU?!と興奮した記憶だけあります(当時Kawasakiのバイクに乗っていましたのでその文字列に反応)。そしてどうやら高速なCPUらしいということを知り、入手するために秋葉原へ出かけたわけです。

当時の領収書によると2007年9月のことでラジオデパートの2F サンエレクトロさんで見つけました。購入したのはKL5C80A12とKL5C80A16というCPUです。これらはKL5C8400をコアにしてシリアルやパラレルなどの周辺回路も込みのマイコンチップとなっており、たしか10MHzを外部からあたえると内部は倍クロックで動作するものだったと思います。2年後の2009年にも追加で購入していました。

KL5C80A12とKL5C80A16の写真

この当時でこれらのマイコンは数が少なく、おそらく現在は取り扱いを終了していると思います。自分は当時、これでZ80のマイコンボードを作ろうと考えていましたが、まず回路設計の知識に乏しく、また当時プリント基板サービスもあったように思いますが自分の財力での開発も難しかった金額だったと思います。またはんだ付けする配線の量も半端ないため、お蔵入りしました。

しばらくのちにコアだけのKL5C8400というCPUもあることがわかり、しかも33MHzまで動作するし、命令に必要なサイクルもオリジナルZ80よりも少ないということで、今度はこれをMSXなどの既存環境のCPUと差し替えて動かしてみたいという興味になりました。再び熱が入ったのですがCPUが手に入らず、早々にお蔵入りしました。

さらにのちに家電のケンちゃんさんのところで(FMがちゃがあったころ)このCPUがあると伺い、1つ購入しました(現在取り扱いはないとのことです)。その時同時に、このCPUはリフレッシュ信号を出さないことを教えていただき、載せ替えることはできない。それでも誰か8801で動作させたつわものがいるらしいという話を伺いました。

さらにお蔵入りして何年もの月日がたった今年(2024)、ふととりあえず動かしてみよう話はそれからだと思い立ったのがきっかけでした。とてつもなく重い腰が上がった瞬間でした。調べていくとどうやらリフレッシュアドレスはリフレッシュタイミングで出力されているという情報が得られました。リフレッシュ信号だけ何とかすればDRAM環境でも動く?そしてそれはほかの信号から何とか合成できそうな・・・とりあえず信号を見てみよう。

と、いうわけで当記事での目標は
・既存のZ80環境のCPUをリプレイスして動作させたい。その時どの程度早くなるのか見てみたい。
・評価ボードでいいので可能な限りZ80モードで高速動作させたい(33MHzもしくはクロックアップ)
になります。そのため、このKL5C8400にはZ80モードとKC80モード(もっと早く実行できるけどZ80とバスタイミングに互換性がないモード)の2つがありますが少なくとも当面はZ80モードのみに限った話となる予定です。

次回最初のテスト基板の制作、リフレッシュ信号の確認の巻です。

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リンク
●CPU-World - Kawasaki KL5C8400C  スペックの記載があります。
Baboo! JAPAN : ハードウエア技術情報に下記の情報がありました。リンクは切れています。
  expert@infoseekさんのExpert Studio
  KL5C8400を使ったMSXの高速化
KC80 ‐ 通信用語の基礎知識
  rレジスタは汎用レジスタとなっていると記載がある。もしかすると出力されるリフレッシュアドレスも作る必要があるのかもしれません。
ノート:Z80 - Wikipedia
  こちらではrレジスタについては仕様上Z80と同じとコメントがあります
Living fossil Z80
  最近googleでこのページが見つかりました。8801で動いたけどほぼ変わらないという結論が出ています。ということで同一クロックでの高速化はあまり期待できないかもしれません。DIP40への変換もかつてはあったようです。
●データシート KL5C8400.pdf 15ページほどあります。
  次回の記事で書く予定ですがこれによるとリフレッシュアドレスは出力されています。
Little Kawasaki Z80 experiment | MSX Resource Center (Page 1/2)
  比較的最近、同様に試した方がいることがうかがえます。
●パチスロで使われていたとのこと
  http://www.kyotani-hobby.com/pachilcd/katochan1.htm
  http://www.kyotani-hobby.com/pachilcd/kyukaioh2.htm

MegaDrive2(Genesis2)でも使われていたという情報があったきがしたのですが、記憶違いだったようで、見つかりませんでした。

この記事を書いた人

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